2012/03/01

免税事業者の報酬にかかる消費税につて

免税事業者の報酬にかかる消費税につて

【ケース】
勤務していた不動産会社を退職後、会社を設立して不動産業を行おうと考えているお客様から相談を受けています。免税事業者は報酬にたいする消費税を2.5%しか受け取ってはいけないと聞いたのですが本当でしょうか?。

●免税事業者について

一般に消費税といわれているものは、消費税(消費税(税率4%)および地方消費税(税率1%)のことで、ここでは消費税等と呼びます。宅地建物取引事業者が、宅地や建物の売買、交換、賃借の媒介(または代理)業務を行った際の報酬は、消費税等の課税売上となります。従って、事業者として消費税等の納税義務を負うことにより納付税額を計算します。しかし、消費税には「原則として、その課税期間に係る基準期間(個人事業者の場合はその年の前々年、法人の場合はその事業年度の前々事業年度)の課税売上高が1,000万円以下の場合には、その課税期間の納税義務が免除される」という規定があります。
それでは、免税事業者は消費税等を受け取ってはいけないのでしょうか。
そのようなことはありません。免税事業者は課税売上に際して受け取った消費税等の納税義務が免除されているものであり、報酬の一部として消費税等相当額を受け取ることは間違いではありません。なお、免税事業者の記帳は「税込経理」で行い、消費税等相当額を含んだ総額を報酬(売上)として計上します。


●免税事業者の報酬の上限について

ただし、免税事業者の報酬の上限は「税抜き金額×1.025」とする旨の通達(※)が国土交通省より出されています。これにより、家賃が10万5,000円(消費税等を含む)店舗の媒介手数料は免税事業者の場合、10万5,000円ではなく10万2,500円が上限となります。つまり課税事業者は消費税等を納付するので、免税事業者の報酬に5%を上乗せしてしますと手取り金額では免税事業者の方が多くなる。そこで、課税売上×50%=課税しいれという前提で、報酬の上限をこのように定めたと考えられます。


(※)消費税の免税事業者の仕入にかかる消費税の円滑かつ適正な転嫁について(国土交通省通達)

免税事業者については、報酬告示第一から第六までの規定準じて算出した額(課税事業者が受け取ることの出来る報酬額であって、宅地または建物の売買等の媒介または代理に係る消費税額および地方消費税の合計額に相当する額(以下、消費税相当額)を含むものをいう)に105分の100を乗じて得た額(以下、税抜金額)に、仕入に係る消費税等相当額をコスト上昇要因として価格に転嫁することができます。この場合、仕入れに係る消費税等相当額は税抜き金額の0.025倍を限度としています。
なお、転嫁さえる金額は報酬額の一部となるものであって、この金額を消費税および地方消費税として別途受け取るものではありません。