2012/11/13

ファミリー不動産に着目 親の家住み継ぐ時代へ

ファミリー不動産に着目 親の家住み継ぐ時代へ


 三井不動産リフォームがまとめたレポートによると、両親の家に結婚した子供世帯が同居する一般的パターンに加え、マンションに転居した親の家に子供世帯が移り住むなどの代表的な6つの事例を紹介した。高齢社会と不透明な所得環境を生き抜くためのファミリー不動産(FRE)戦略が注目を集めそうだ。

 祖母が一人で暮らしていた築40年の住まいに、結婚したばかりの孫夫婦が新居として住むことになった事例も紹介された。祖母は高齢者施設に移ることを決断したが、長年暮らした家が空き家となって朽ちていくことだけが心残りだった。そこで、母親が仲介役となり、「壊さないで住み継ぐ」ことを条件に、若い孫夫婦が全面リフォームして新居とすることが決まった。2,000万円以上のリフォーム費用は全額祖母が負担した。投資効率が最優先されるCREと異なり、FREは子や孫に対する愛情、思い出がたくさん詰まった住宅への愛着が大きなウエートを占めるのが特徴だ。

リポートは今後、FRE戦略が脚光を浴びると予測する根拠として

  1. (1)若年層の未婚・晩婚化により「家を持つ」というモチベーションが先延ばしになってくる
  2. (2)団塊ジュニアの約半数が3大都市圏で生活。所得が伸びないとマイホームの取得が経済的に難しい
  3. (3)少子化で親から家を相続する若年世代が増えている

ことなどを挙げている。

 中でも経済的事情は大きい。リポートでは、実際に親の家をリフォームして住み継いだ事例を基に、住宅取得のコスト比較を行っている。それによると、場所は東京23区内の住宅地で、私鉄沿線の駅から徒歩13分という環境。結果は継承+リフォームが2,070万円だったのに対し、中古購入が4,980万円、新築分譲は6,380万円となり、経済的メリットの大きさが浮き彫りとなった。

 最後にリポートは経済的にも、精神的にも豊かになる可能性が高いファミリー不動産の継承だけに贈与・相続税など税務上の対策が重要になると指摘している。例えば親名義の住宅に同居する場合は親がリフォーム資金を出せば贈与にならない。しかも相続時には親の現・預貯金を減らし節税対策になる。反対に親名義の住宅に子が自己資金でリフォームすると、親への贈与となるので注意が必要、などとしている。