2012/05/10

遊休農地 活用に本腰

遊休農地 活用に本腰


 市内で遊休地となっている農地対策を函館市農業委員会は本年度に本格化させるようだ。農家の後継者不足や高齢化が急速に進む中、これまでは農家間でのやりとりが主流だった遊休農地の売却や賃貸などの仲介に初めて乗り出す方針だ。農地の農地としての利用促進を目指す。


 農業委員会によると、市内の農家は714戸(3月末現在)あり、農地全体の面積は約3800ヘクタール。このうち遊休化している農地はわかっているだけで約103ヘクタールに及ぶ。市は2009年12月の改正農地法の施行を受け、10年度から農地の利用状況の本格調査に着手した。10年度の農家を対象にした調査では、少なくとも計55戸の25・5ヘクタールが遊休農地となっていることが判明。昨年7月に所有者に利用増進を促す「指導通知書」を配布し、今年6月末までに遊休農地の耕作が再開されない場合は、8月までの利用計画の提出を求める。さらに、利用計画の届け出がなかったり、計画が適正でなかったりした場合、同委員会は指導よりも重い「勧告」を出し、遊休農地の所有者と希望者との間で、農地の売買や賃借などの斡旋を図る。それでも協議がまとまらず、放置された場合は法的措置もある。


 一方で、昨年11月には農家以外の農地所有者を対象に調査し、少なくとも約75㌶の農地が遊休化していることが分かった。同委員会は5月中にも今後の農地利用に関する意向調査を行う予定だが、「相続の関係で所有者が不明だったり、もともと日当たりや水はけが悪く、耕作には適さない土地も多い」(事務局)のが実態だ。
 一昨年の調査では、対象面積のうち、遊休農地で耕作を再開した農家は全体の2割程度にとどまり、半数以上が遊休化したまま。昨年の農家以外を対象にした調査でも遊休農地は全体の約2割に上り、事務局は「市内での遊休農地の全体像は不透明だが、優良な農地の有効活用を少しでも促進させたい」としている。